外壁塗装の適正価格を知る「7つの要素」:一級塗装技能士の解説シリーズ vol.03
外壁塗装を考えたときに一番知りたいことは、塗装工事費の金額です。この記事では、塗装工事費の相場とそれに上乗せされる「7つの要素」について説明します。
塗装工事をする際に、余計な工事をしたり業者にだまされたりしないためにも、しっかりとした知識と工事費用の相場感が必要です。塗装の職人視点で、塗装工事の基礎知識と塗装工事費に相場について解説します。
まずは、一般的によくある住宅を例にとって塗装工事費の相場を見てみましょう。
ネットでは100万円以下の値段設定をしているところもありますが、工事にかかる最低限に必要な工程、足場、塗料、道具などを考えたときに上記の下限に当たる金額以下になることはまずありません。
もしも安くなるのだとしますと、工程をひとつふたつ省いたり、足場を適当に組んだりなどしているなど必ず安くなる理由があります。
上記の基本条件で110万円以下の金額を業者から提示された場合は、その業者は避けた方が良いかもしれません。
価格競争に気づき無理な工事を回避する
繰り返しますが、見積書から伺い知れるのは大まかに足場代、塗料、他材料と施工費などの直接経費です。
塗装業者の裏側のコストを見てみるとまず民間の保険会社へ負担する工事保険、車両保険、労災保険など安全を確保しなければ事業を進めることができないものがあります。もちろんその他大前提の社会保険料があります。
加えて事務所代や駐車場はもちろん材料置き場などの倉庫賃借料、産業廃棄物代、廃シンナー、ガソリン代です。
事務所が大きく人員もいるほどコストは掛かってきます。設備投資として掛かった車や道具も工事費用から回収する必要もあります。
このような塗装業者のかかるコストの前提を知らなければ、正しい塗装工事をするための適正価格を知ることができません。
外壁塗装業界は業者同士の競争も激しく、価格競争にもなっているため魅力的な割安価格で工事するという気にもなるかもしれませんが、無理な価格で工事されてしまうということにも気づかなければなりません。
価格を知る上で必要な塗装工事の基礎知識
7つの要素についてお話しする前に、まずはいかに塗装の相場を出すことが難しいかということをご説明致します。
実は塗装工事費用の相場というものは、ほぼ無いに等しく家によって塗装工事費用はバラバラです。
なぜなら、建坪が同じだとしても家の形や素材などの仕様が違うため、状況によっては大きく値段が異なってきます。
家の塗装も、車のように距離数ですとか年式などである程度価格が想定できればいいのですが、そもそも家は形状も建て方も違いますので、量産され品質規格などが同じ車のように比較することができません。
家は、そもそも使う素材も違いますし、施工会社の技術や家が建っている環境によっても傷み方も違います。壁ひとつ取っても…塗りやすい壁、塗りにくい壁で違いが出ますし、築年数も大きく影響します。
上記に上げたような細かな条件で、金額は大幅に変わるのです。
正直に言いますと、家を実際に見てみないと金額はわかりません。
そうはいっても、塗装工事を検討しているお客様にすればまず業者に依頼する前に、心積もりするためにも金額が知りたいですよね。
そこで考えられる範囲で、ベースの金額にプラスするものとしてどのようなものが考えられるのかプロの目線で書いてみました。
正直、先ほどもお話しましたが110万円以下になることはまずありません。逆に140万円以上は大いに考えられます。
では上記のベース金額に、どのようなプラス要素が考えられるのかご説明いたします。
価格を決める7つの要素
以上の要素によって、金額は大きくかわります。
では、もう少し詳しく内容を見ていきましょう。
1,塗り面積で変わる
家の面積は大きければ大きいほど、塗る家の壁や屋根の面積もかわるため、当たり前のことですが塗装工事の値段も変わります。
家の面積算出方法は、通常図面を見ますが、図面が無い場合は現地調査の際スケールで実測して面積を算出するのが一般的です。
ただ、家の場合面積だけでなく、写真のような開口部がたくさんある家…つまり壁に窓などが多い家については金額が変わる場合があります。
写真のように沢山窓がある家の場合、塗る面積は少なくなるのですが業者からすると手がかかる壁となります。窓が沢山あることで、ひとつひとつの窓に塗料が付かないよう養生をするひと手間が増え、窓回りなどにも刷毛やローラーなどの塗りムラや塗り跡が残らないよう職人の技術が必要に。
「窓があるから塗り面積が少なくなり、安くなるんじゃないか?」と一部思う方もいらっしゃいますが、職人からすれば逆で余計に手間が掛かります。
業者によって、平米単価で塗装工事費を算出するところもあるのですが 窓がある場合は調整が入り高くなることもあります。
2,塗料種類で変わる
先ほどもお話ししましたが、塗料のグレードで値段や工事の仕上がりが劇的に変わると思っている方がいらっしゃいます。
ネット上で「塗料の値段で耐久性が変わる、だから高い塗料を」と書いている業者がいるために、多くの方が「塗料の値段で工事費が大きく変わる」と勘違いをされているのです。
よくある誤解で、塗料価格の違いの割合が、工事費用全体に大きく影響すると思っていらっしゃる方がいますが、塗料で費用が変わるのは一部の塗料を除けば 2~3万円程度です。例外的な高価格の塗料を使用しない限り大きく工事費を左右するものではありません。
塗料にはウレタン、アクリル、シリコン、ラジカル制御型、フッ素、無機塗料などいろいろな塗料がありますが、塗装工事をされる8割以上の方は、特別ではない一般的な塗料(ウレタン、アクリル、シリコン、ラジカル制御型)で塗っています。
なぜかといえば戸建てではそれ以上の塗料で塗る意味がない家も多いからです。
一般的な塗料といっても十分に高機能です。ここで気を付けたいのは業者の方で、20年や30年という耐久性ばかりをうたってくる業者です。
たしかに良いようにうまく解釈をするとすれば、例えば板1枚に普通にペンキを塗れば20年は余裕で持つでしょう。家具だってそうです。でも自然環境と対峙する家に塗った場合では30年持つことは考えられません。
塗料そのものが何年もつということではなく家全体に塗って何年もつのかということが、塗料の品質としては重要で、これから塗装を計画する人はそういう意味で言っています。
もしも塗装工事の見積もりの際に、「こっちの塗料のほうが20年持ちます、30年持ちます」といったことを言ってくる業者だった場合、その業者で工事をするのはできるだけ避けた方がいいでしょう。
塗料の価格に戻りますが、数万円の違いはあくまでも一般塗料の場合です。特別な断熱塗料、フッ素塗料、無機塗料で塗る場合は、塗料1缶当たり2万円~5万円ほど、家1軒あたりで20万円前後工事費用がかわることもあります。
ただ一般塗料以外で工事する家はそう多くありません。
従って110万円~140万円が相場だとすれば、その費用に20万円前後がプラスされるというように考えてください。
騙されないためのポイント1
ここで一つ注意をして頂きたい塗料があります。OEMと言われる、業者が自社販売をしている塗料です。塗装会社などがオリジナルで作る塗料で、パッケージが塗装会社オリジナルなものです。
OEM塗料を作っている業者は、たいていの場合「うちが作った特別な塗料なんです」と言って、OEM塗料を勧めてくるでしょう。
しかしこの塗料、販売はたしかにこの業者がしているものの、塗料の生産は塗料メーカーが作っています。
業者が自ら販売する塗料ですので、販売価格は品質に見合ってなかったとしても高価格な料金を設定することができます。
塗料メーカーが作った塗料のシールを張り替えているだけですので、元の塗料メーカーで同じレベルの塗料が半額以下の価格で販売されている可能性も。
この塗料品質の見極めの判別はプロでも困難です。
とにかく圧倒的な高額塗料が記載されている見積書には目を光らせる必要があります。
OEM塗料を避けるためには有名な国内塗料メーカー製の塗料を使用する業者を選べばいいでしょう。
3、外壁の模様で変わる。モルタルの種類やサイディングの違い
大きく分けて、外壁の種類にはモルタルとサイディングがあります。
まずは、モルタルについての説明です。モルタルの表面は大きく分けて2つのタイプがあります。
触るとツルツルでこぼこしたタイプと、触るとザラザラでこぼこしたタイプです。
塗りやすいのはツルツルした表面のもので、塗料もそこまで多く塗らずに済むため、塗料缶数も少なく費用も押さえられるのが特徴といえます。
次に触るとザラザラのタイプについてです。骨材などをまぜてセメントを吹き付けたリシン仕上げなどを施したザラザラの壁は、ツルツルした表面のモルタルと比べて、単純に2倍の手間暇が掛かります。
さらに凹凸が多い壁は、凹凸の部分にまで塗料をいきわたらせるために、たっぷりと塗料をつけて何度もローラーで往復する必要があります。吹きっぱなしのスタッコ仕上げなども同様です。塗る作業部分のみの作業としては3倍ほど手間暇を費やすこともあります。
このように、一口にモルタル壁といっても、壁の模様しだいで塗り方が変わり、塗料の使用缶数も変わるため金額にも差が出ます。
単純にモルタル壁だから…、と計算しますと想定した金額よりも20万円近く高くなる場合があるのです。
次にサイディングの場合です。
サイディング壁の場合、壁の種類によっての金額差はモルタル外壁ほどありません。
まれに模様の入っているサイディングボードがありますが、ほとんどの場合表面がツルツルですので、子どもでも女性でも気軽に塗れるほどです。
サイディングはほとんどの場合、モルタルほどの金額差はないと考えて良いでしょう。
騙されないためのポイント2
ネット上には、こうしたモルタル壁の塗りやすいタイプと塗りにくいタイプについて説明するのが面倒な場合、『モルタル壁の塗装費用』として、金額設定を一つだけにしている業者があります。
モルタル壁の塗装費用として1つしか金額設定がないのであれば、顧客としてはわかりやすいかと思いますが、この金額設定がどちらのモルタル壁タイプに合わせてあるのかということが重要になります。
ほとんどの場合、安く金額が提示できる『塗りやすいモルタル壁』に合わせて低く金額を設定しています。
その一方で塗りにくいタイプの壁の塗装工事となった場合は、塗りやすい壁の場合と同等の量の缶数で済ませてしまい耐久性を落としてしまう可能性も考えられます。
塗料缶数の使用量(塗布量)のイメージを例えれば、塗りやすい壁に使用する塗料缶数を5缶だとしますと、塗りにくい壁のほうは10缶かかるところを、5缶で塗ってしまうということです。
ちなみに屋根の場合でも特にスレート葺きの屋根塗装などの場合は形状によって価格が変わる場合もあります。上2列の写真は1枚1枚塗るような作業が必要ですが、下2列の写真はほとんどの面積をほぼローラーだけで塗ることができるのでその作業効率の差が価格に反映されることもあります。
4,下地処理で変わる
モルタル外壁の場合、下地処理の影響による価格の差はほとんどないと考えてよいです。住宅の場合RC建物のマンションやビルと違いクラックを埋めるために1日費やすような外壁は考えられないからです。
しかしサイディングの外壁塗装の価格は、下地処理の影響を大きく受けます。
サイディング外壁は、モルタルと違いボードとボードのつなぎ目である『目地』や『窓サッシ廻り』に打ち込んでいるシール工事の費用が必要です。
耐久性を確保するためにシール工事は必ず必須な工事ですが、専門シール職人を工事工程にいれた場合、20~30万円ほどプラスとなります。
塗装の職人がシール工事を兼業してしまう工事の場合は安くなる場合もありますが、サイディングの塗装は専門シール職人以外の工事はあまりおすすめできません。
シール専門の職人が施工したシール工事と、専門ではない職人の仕上がり具合や、耐久度が変わってきます。
シール職人は、シールを目地に隙間無くぴっちりと納めるために、ヘラを使い分け、道具もシール材2液タイプのものなど、専門職人ならではのものを使います。質も仕上がりもまったく違うのです。
外壁以外にも天井、軒、壁の取り合い、笠木や破風板などシールを打ち込む箇所はいろいろあり、そのような場所も劣化していれば当然打ち替えや増し打ちなどのシール処理が必要になってきます。
業者から見積もりを取った際は、見積書の中にそうした必要な箇所のシール工事や下地補修が記載されているか確認しましょう。
せっかく壁を新しい塗料で塗っても、下地処理やシール工事をしないでいますと、シール剤が劣化した所から雨漏りを引き起こす原因にもなってしまいます。
5,色で変わる
色の塗り分けや色替えによって、工事費用は変わります。これについても詳細を見てみましょう。
①塗り分ける
塗り分けとは、大きい面積の作業で言えば家の1階部分と2階部分の塗り分けすることです。
もちろんそれだけの色をそろえるための塗料代も必要です。
調色をする場合の職人の技術も必要でその分だけの作業量も必要です。
ではなぜ塗り分けをした場合、金額が変わるのでしょうか。
それは、塗料の色を変える場合色変えのためにハケ、バケツ(下げ缶)、ローラーや刷毛などを変える必要があるからです。
他の色で使っていたバケツに、違う色を入れて使うわけにはいきませんので、必ずすべて道具を変える必要があります。
塗り分ける部分に関してはそれぞれの色同士が被らないように線を引くような技術も必要になってきます。
左上の写真では2階に黄色、1階はオレンジ色、そして帯板がこげ茶色で塗装されています。
右上の写真も2階が濃いアイボリーで1階がレンガ調に仕上げるためのクリヤー塗装です。
様々な色を使い分けている右下のような家もあります。
色変え部分が多くなりますと、それだけ業者の工程や手間が増え、見積もりの際には値段が高くなってしまう要因になるのです。
同じ色で、壁一面を統一して塗ってしまえば、工期も早く終得ることもできるため色の種類の限定をしたうえで安くなる工事もあります。
②極端な色替え
また外壁の極端な色替えで、金額が変わる場合もあります。
わかりやすく言えば黒色を白色に変えるなどの色にする場合です。
塗料メーカーの仕様では通常3回塗りです。
でも例えば下記例は角度が違うだけで同じ家ですが、薄いグレーの壁色を蛍光黄色にかえる場合、下地の色の影響が出やすく、色替えのために4回塗りする必要があります。
こうした仕上げの色をきっちり出すためには通常よりも1回塗りが増やすことで、工事費用も変わるのです。
せっかくの塗装工事ですので、お客様が好きな色を選んで素敵な壁に仕上げて欲しいと思いますが、それによって値段が変わると言うことを覚えておくと良いでしょう。
6,付帯塗装の有無
①付帯の量
付帯塗装とは、外壁や屋根以外のその家にとって主力となる部分以外に当たる鉄部や木部などを言います。
雨戸や、雨樋、軒、破風、玄関ドア、帯板などなど、これらの箇所に施す塗装が付帯塗装です。付帯塗装する箇所の種類や数が多ければ多いほど、費用が掛かってきます。
従って見積もりに伺って、いざ蓋を開けてみると付帯塗装が山ほどあり、相場金額と全然違う金額になってしまうこともあるのです。
例えばここではわかりやすさのために格子を例にとりますが、窓に格子があるかないかでも、塗装費用がかわってきます。格子は1本1本塗っていくため、大変手間がかかる箇所です。
もしこれが通常の窓サッシの場合であれば塗装する必要がないため作業量の差は歴然です。
外壁の目の粗さによって変わりますが、格子を一カ所塗るのと外壁1面の半分の面積を塗るのでは作業量が変わらないレベルといえばわかりやすかもしれません。
雨戸の塗装なども、雨戸を外して塗ったほうが塗りやすく丁寧な仕上がりとなることもあります。
雨戸はガラリのような段々の形状になっている場合がほとんどです。その段と段の溝に塗料をいれながらひとつひとつ塗っていくため、非常に時間も費用もかかりますが20枚あったりしますと、金額もまったく変わってきます。
このように付帯の有無や数量で工事価格の差の影響が大きくなるにも関わらずwebサイトなどでシンプルな料金設定を鵜呑みにすることは要注意です。
付帯塗装が少なければそれはそれでよいのですが、家の塗装はある意味付帯塗装の耐久性でもあります。※雨戸ではなく破風板や軒などの付帯部です。
外壁自体の耐久性より付帯部の耐久性が上回るということは通常ないため、戸建ての塗装の場合は付帯塗装のほうに重点をおいてもいいぐらいです。
②塗料種類の使い分け
外壁の部分で説明したように付帯塗装の場合も、付帯の種類分だけ色変えをするとなるとさらに金額がアップします。
付帯塗装の部分によって使い分ける色が多ければ多いほど、塗料をいれる入れ物(下げ缶)もローラーもハケも変わりますので、道具や塗料の準備や、調色も必要となるため工事費は高くなります。
③傷み度合い
最後に金額が変わる部分として紹介するのが、付帯部分の傷み度合いです。
破風や家の木部は、非常に傷みやすい箇所となっています。傷んでいる箇所は4回塗りをしないとおさまらない場合もあるのです。
傷んでいる場所は塗装が剥げ塗料をよく吸い込みます。
小さな凹みやちょっとしたクラックなどがある場合は、パテなどで埋め込んで平らに慣らしてから塗装をします。
これらの工程も、プラスの費用が必要となるのです。
騙されないためのポイント3
外壁などの傷み部分について、一つ注意しなければならない点があります。
見積もりの際に、家の傷んだ箇所を詳細に診断してくれる業者が増えています。
カラー写真の図解入りでわかりやすく塗装の必要性を教えてくれる点については安心できます。
ただし問題なのは「その傷んだ部分をどう処理するのか?」が大問題です。
傷みの指摘と正しい処理は別物で考えた方が賢いです。
「この場所が腐っています、鉄部もさびて穴があいています」と詳細に指摘をしてもらいますと、なんとなく「指摘された箇所を補修してくれるのかな?」と思ってしまうものですが、工事品質をさしおいて指摘だけに重点を見積りにや診断にも注意が必要です。
傷み度合いの診断や調査は誰でもできるのですが、ではその部分をどう補修するかというのはプロの職人の技が必要となるからです。
つまり傷み部分を指摘してもらったら、それで終わるのでは無く傷み部分を「どう適切に処置してもらうのか」ということが重要なのです。
ですので、見積もりの中に補修工事が組み込まれているか、またその補修工事の内容についてもしっかりと確認するようにしましょう。
ただし最終的な補修の品質は決して書類ではなく現場で作業する職人の腕によって決まるということは言うまでもありません。
7,大工補修で変わる
6で紹介しました付帯塗装ですが、木部が腐っているなどの場合、塗装の補修だけではカバーができません。その場合は、大工をいれて補修工事をしなければならないのです。
築10年では、そこまで大工工事が必要となることはありませんが、築20年、30年と築年数が経過すればするほど木部や鉄部に腐食部分が出てきます。
中でも軒天などは、内側に湿気などがたまったことで中から腐食し、ひどい場合は穴があいてしまうこともあるのです。
塗料の耐久性のところで話したように「こっちの塗料のほうが20年持ちます、30年持ちます」という一部の悪徳な業者の言葉は、このような生活や自然的な影響を全く考えていない身勝手な発言ということが少しは理解できると思います。
また付帯部の耐久性が外壁そのものの耐久性を上回ることがないと伝えたのもこのような傷みが発生するからです。
穴が空いてしまいますと、パテで補修するだけでは塞げませんので、大工をいれてしっかり補修工事をします。
また、雨樋や雨戸が破損したり腐蝕したりしている場合は、交換することになり、それ以外にも庇や屋根の上に敷いたトタンが腐ったことで、交換と板金工事が必要になる場合も。
これらの大工や、板金職人は塗装の職人とはまったく別の職種になりますので、工事が増える分だけ職人の人数が増え、人件費や材料費がかかるため費用も増えます。
まとめ:相場の110万~140万円はあくまでも基本的な相場
塗装工事費用の相場となる110万円~140万円に対して、追加費用となる7つの要素の説明をいたしました。
どのような部分に費用がかかるのか、理由も含めてお分かり頂けたかと思います。
ご紹介したのは、あくまでも塗装のプロ目線を通した、損得を抜きの塗装工事に必要とされる費用です。
どのような箇所に、どのような手間がかかり費用として計上されるのかをしっかりと理解すれば「これだけ手間がかかるはずなのに、あれ?結構安いのね」と思った時に、行程として省かれてしまっている部分などに気がつき、その業者がどんな工事をするのかが予想ができるかと思います。
家の外壁塗装は、極端に安くなるということは通常はありえません。
安くなる場合が万一あるとすればそれはその価格相応の品質です。
その一方で品質が良くなくても高価格になる場合があるのでそれも厄介です。
実際に価格の相場を知ったところで正しい業者選びができることとは少し意味が異なります。
ただし割安な工事からは身を引くことができるので耐久性を一番に考えた場合は間違いは減ると思います。
高額過ぎる見積りを提出する業者の場合は、一度その会社の事務所などに足を運ぶことです。
まともな工事をする場合でもあまりにも高額な場合は、現場以外にコストが掛かり過ぎている業者かどうかを見見定めることも重要です。
大手などにかかわらず事務方が非常に多い塗装会社にはよくある傾向です。
そういう方向からも正しい業者選びにつなげられる場合も少なくないので、価格の相場はあくまでも正しい業者選びの一つの指標として考えてください。